数名の療法士が 利き手について の考えや発想を 出し合い、以下 に記すようなも のにまとめ上げ られました。ヘ ンダーソンとペ ホスキーの編纂 になる『子供の 手のはたらき』 のなかには、エ リザベス・マレ イが利き手につ いて記した有益 な1章がありま す。クリスティ ン・レヴァイン の著『細かい動 きの障害』のな かにも利き手に ついての1章が あり、有益な内 容です。
優位性の確立時期
療法士のメリー
・ベンボウによ
ると、認知能力
が極めて高くも
極めて低くもな
い子供たちだけ
が、優位性(右
利きか、左利き
かということ)
を確立するとい
うことです。そ
してそうした子
供たちが実際に
優位性を確立で
きるのは、3、
4歳の頃からか
なり経過した時
期であるという
ことです(8歳
か9歳ごろにな
るというのも珍
しくありません
)。幼稚園に通
う時期において
は、まだすべて
の優位性(利き
手、利き脚など
の各部の優位性
)が出そろうわ
けではありませ
ん。
体の部位と動作
の種類により異
なる優位性
右利き、左利き
になるように押
し付けてはなり
ません。それと
、もうひとつ重
要な点は、すべ
ての体の部位の
優位性、すなわ
ち利き手、利き
脚、利き目が、
同じ側にあるわ
けではないとい
うことです。ま
たどちらが利き
脚になるかとい
うのは、脚が体
の安定のために
働いているとき
なのか、それと
も脚が動いてい
るときなのかに
もよるのです。
子供が脚を使っ
た動作をしてい
るとき、体を安
定させたり支え
たりするために
どちらの脚を用
いるかについて
は、姿勢に関す
るさまざまな要
素が影響してき
ます。これはと
りわけ、子供が
意識的に何かの
動作をしようと
している状況に
おいてはそうで
す。利き手に関
してだけでも、
色々な種類の利
き手がありえま
す。たとえば、
手を伸ばして物
を取ろうとする
ときの利き手と
、何かの道具を
操作しようとす
るときの利き手
は違う場合があ
ります。道具の
種類(はさみ、
鉛筆など)が違
うと、利き手も
変わるというこ
とさえあるので
す。スポーツの
ときは一方の手
を好んで用いる
けれども、切っ
たり書いたりに
は他方の手を用
いるという子供
たちが結構いま
す。これは異常
なことではなく
、一方は力の強
さを発達させ(
それでその手は
色を塗ったり、
球を投げたりに
使われます)、
他方は細かな動
きのための(つ
まり、書いたり
切ったりに必要
な)制御力や技
巧を発達させた
からなのです。
上手なほうの手
上の例のように
、一人の人間が
異なった優位性
を持つことは普
通のことであり
、何ら問題を示
唆するものでは
ない、というこ
とが、文献にも
示されています
。子供が異なる
優位性を持って
いても、うまく
作業や活動をこ
なしている限り
は、それを変え
させる必要はあ
りません。ただ
、異なる優位性
の背後に、それ
を生み出してい
るもっと奥深い
要因があり、そ
れが本人の生活
の別な側面にお
いて別な機能障
害をもたらして
いる、という場
合はあり、そう
した場合はその
奥深い要因と取
り組むことにな
ります。利き手
を生み出す要因
にはハードウェ
ア(筋肉や骨、
力強さに関わる
こと)とソフト
ウェア(神経に
関わること)が
あり、この2つ
がお互いに作用
しあって、効果
的な反応系を生
み出しているの
です。子供が利
き手を頻繁に変
えるなら、効果
的反応のための
筋肉・骨・神経
の同調動作の確
立を妨げてしま
います。ジャン
・オルセンはそ
の著『書くのに
もう涙はいらな
い』で、子供は
一方の手で字を
書くように慣ら
されるべきだと
言っています。
書く手を変える
たびにそれまで
の練習の成果が
泡になるからで
す。子供が書く
手をしょっちゅ
う変える場合、
ジャンは子供が
手を使う技能を
、各々の手につ
いて、よく観察
評価するように
勧めています。
どちらの手が、
字を書くにはよ
り向いているか
を知るためです
(子供が物を拾
い上げるところ
、鉛筆を持つと
ころ、鉛筆を動
かすところ、手
で紙を動かない
ように押えると
ころなどを注視
してください)
。そしてより上
手なほうの手が
わかったら、そ
の手で字を書く
気になるように
元気付けます。
どちらの手が向
いているかを知
り、パターン確
立を促す
これにはまず子
供が手をどのよ
うに使っている
かについての情
報の収集からは
じめると良いで
しょう。そして
その子の先生か
誰か大人にお願
いして、簡単な
記録をつけても
らってください
。これはその子
の手の使い方に
何らかのパター
ンを(それはど
んなにかすかな
、ちょっとした
傾向のようなも
のでもかまいま
せんから)確立
するために必要
となるからです
。あなたの観察
に加えて、その
子の教室の先生
の観察に基づく
ようにすること
が大切です。と
いうのは、隣に
療法士がいる場
合、子供が教室
にいるときとは
違ったことをす
るというのは珍
しいことではな
いからです。子
供が何か特定の
作業をするとき
に、気のないそ
ぶりをしながら
いつも子供の一
方の側(右なら
右、左なら左)
に座るとか、材
料の配列のし方
を工夫するなど
して、一方の手
をもう片方より
も使い易いよう
な状況にするこ
とができます。
データ収集の結
果、何らの傾向
もまったく確立
されていないこ
とが判明したな
ら、今度は子供
の作品を見てみ
ましょう。そう
して、学校での
作業(字を書く
ことや絵を描く
こと)にどちら
の手のほうがむ
いているか、判
別するようにし
ましょう。子供
に、どちらの手
でするほうが楽
に感じるか聞い
てください。
利き手について
知るには多くの
観察が必要
注意深くじっく
りと見てくださ
い。どういうと
きに子供が使う
手を変えるかを
です。作業の中
途で変えるのか
(この場合は手
の活動を支える
根元の安定が弱
く、つまり肩胛
帯が弱く、手が
疲れるので、使
う手を変えるこ
とが原因です)
、作業の間中両
方の手が用いら
れているのか(
子供は混乱して
いるのです)、
大概一方の手で
作業をはじめ、
もう一方の手で
作業を終えるの
か(胴の安定性
や、体全体にか
かわる問題があ
るのかもしれま
せん)、という
ことをです。各
々の手は、どう
いった本質的能
力を持っている
でしょうか・・
・たとえば、そ
れぞれの手で子
供がカードを裏
返すところを見
てください。ど
ちらがより動作
が洗練されてい
ますか。また、
体の姿勢や対称
性、作業中の目
の動き、単に手
を伸ばして物を
取るときの動き
、細かな手の動
き、などを観察
してください。
利き手について
見ていく場合、
考慮に入れるべ
き点が他にもい
くつかあります
。以下、1~6
にそれらを記し
ました。
黒板に描く
黒板に大きく「
8」の字や、8
を横倒しにした
ものを描かせま
す。子供の右手
に白墨を持たせ
、黒板の端から
端まで歩かせて
、水平線を描か
せましょう。同
じ事を今度は左
手でさせましょ
う。
中央線の横切り
に伴う困難
水平方向や垂直
方向に動く物を
視線で追うとき
に、目がどのよ
うに動き、反応
しているかを観
察しましょう。
もし絶えず瞬い
ているとか、視
線が絶えずそれ
るとかであれば
、中央線を通過
するときに何か
がうまくいかな
いのかもしれま
せん。たとえば
「背中に虫がい
ると思ってごら
ん。それを取っ
てみよう」とい
うような、ごっ
こ遊びをさせて
見ましょう。そ
のとき、右の手
で左の肩に触れ
るとか、左手で
右の膝に触れる
とか、ないしは
類似の動作を必
然的に伴うよう
なごっこ遊びを
考えてあげるの
です。もし子供
がうまくこれを
できないなら、
2、3週間後に
その子の先生と
また会うことと
し、その際にそ
れまでのことを
振り返ってもら
い、その子にそ
うした困難があ
るのかどうか判
断しましょう。
必要と診断され る場合は、手の 根元にあたる部 分(肩胛帯)の 強化をもたらす 活動、体の両側 を使う活動を多 く取り入れまし ょう。
「大脳練成運動 」とか「育成的 運動科学」など と呼ばれる手法 を組み込んでも 良いでしょう。 これには優位性 を引き出すよう な運動が入って います。[訳注= 訳者が 当文書翻訳時に インターネット で検索した限り では、沖縄でこ の療法を提供し ているクリニッ クは見つかりま せんでしたが、 読者の皆様が最 新の情報を得る ためには、 ”Brain Gym” または “Educational Kinesiology” をキーワードと して日本語ホー ムページを検索 して見られるこ とをお勧めしま す。]
物を子供にとっ ての中央線に置 きましょう。そ して、作業を始 めたほうの手で 、その作業を終 わらすよう、励 ましましょう。 つまり、子供に どちらか好きな ほうの手を最初 に選ばせるわけ です・・・ただ 、最初に始めた ほうの手で、最 後までやり遂げ ねばならない、 ということを決 まりにしていく のです。今やっ ている作業が終 わったら初めて 、その子は今度 は別な作業のた めに別な手を使 うことを選ぶこ とができる、と いうわけです。
子供が中央線に 至るのを避ける ような動作をす る場合は、中央 線を越える練習 に専念してくだ さい。中央線を 越える練習は両 方の腕について 行います。自由 に中央線を越え られるようにな ると、大概は利 き手の優位性は より明確になっ てきます。子供 がいつも、作業 を同じ手で始め る、という場合 を除いては、一 方の手よりもも う片方の手をな るべく使わせる ように励ますの は決して勧めら れません。もし 、作業をいつも 同じ手で始める けれども、途中 で変える、とい う場合は、手が 疲れたせいで変 えている可能性 があります。で すからそうした 場合、手の力を 強くする練習に 取り組んでみて ください。そう して、作業を完 遂するまで握力 を維持できるよ うになるか見て みましょう。
一方の手はある 動きをし、別な 手は別な動きを することが必要 となるような活 動なら何でも、 それぞれの手が 別々な機能を発 達させていくの に役立ちます。 こうした活動は ある期間にわた って繰り返され る必要がありま す。そうすると 子供はその結果 を認知すること により動作がよ り上手になるの です。こうした 活動では、一方 の手が主たる動 作を行い、もう 一方の手はそれ を補佐します。